側弯症の原因は普段の姿勢なのか
側弯症の原因
今回は側弯症の原因と噂されている普段の姿勢についてご紹介
そもそもなぜ側弯症と普段の姿勢が並べて語られるのか
「普段の姿勢が悪いから側弯症になったと思います。」とおっしゃる患者様や保護者様が多くいらっしゃいます。
「側弯症は背中の病気=普段の姿勢が悪い」あまり知識のない方ならこのような考えにいたるのは至極当然のようですが、考えていただきたいことは「それならば世の中の姿勢の悪い人は全員側弯症なのか」ということです。
答えはもちろんNOです。
つまり考え方が逆であるということです。
姿勢が悪いから側弯症になるのではなく「側弯症だから余計に姿勢が悪く見える」これが側弯症と姿勢の捉え方です。
※あくまでも側弯症の大半を占める特発性側弯症のお話です。
※機能性側弯症などは姿勢の悪さが原因のため姿勢矯正で改善します。
「気を付け」は正しい立ち姿勢なのか
「正しい立ち姿勢」というと皆さんはどのような姿勢をイメージするでしょうか。
おへそあたりを前方に押し出して、あごを手前に引いた方が多いのではないでしょうか。
おへそよりももう少し下(脚のつけ根あたり)を押し出すようにしたかもしれません。
なぜこのような姿勢を「正しい」とイメージするのでしょうか。
これらの姿勢は、小学校などに入学してから何度も教わった「気をつけ」の姿勢が基礎となっています。
「気をつけ」が「正しい姿勢」であると思っていませんか。
「気をつけ」の姿勢をもう少し詳しくみていきましょう。
・両足のかかとを接して膝を伸ばし脚の内側に力を入れます。
・腰(足の付け根やおへそあたり)を前方に押し出します。
・両腕は体側にぴったりと付けて腕全体に力が入っています。
・さらに、あごを引いて頭部全体を後ろに引きます。
どうでしょう、股関節や肩甲骨周りが硬直して動きやすい姿勢とは決していえません。
「気をつけ」は、軍隊や学校などの集団行動で兵士や生徒を静止させる(動かせない)ための姿勢です。
集団を動かす上官や教師にとっては都合のいい姿勢ですが、「気をつけ」をしている本人にとってはとても動きにくい姿勢です。
しかし私たちは日常生活で、無意識にこの「気をつけ」を基礎とする準備姿勢をとっていることが多いのです。
合理的身体操作を身につけるためには、まずこの無意識に植え付けられてしまった「姿勢」を変える必要があります。
多くの人は、姿勢を変えることなく「動作」を変えようとして無駄な努力をしているようにみえます。
本当の意味での正しい立ち方「外旋立ち」とは
基本的な人間の行動として「すぐに動き出せる姿勢」というのが重要です。
なぜでしょうか。
そもそも人間はただ止まっていることの方が少なく、何かしらの行為をする一環として立ち止まります。
なので「気を付け」のように身体が硬直するような立ち方は自然な姿勢とはいえません。
・足を肩幅(骨盤幅)に開き足先はやや開きます。
・次に膝を少し曲げて、骨盤を前傾させます。
・骨盤を前傾させるというのはお尻が少し後ろに出るようにイメージします。
・その骨盤の上に楽に上体を乗せてみましょう。
・腕はだらりと下げて、顎は気をつけのときのようにぎゅっと引くのではなく、緩めて少し出すようにします。
・骨盤を前傾させると自然と胸が張ります。
この体幹アーチは個々の柔軟性によって異なります。
頭の位置や胸の張り方など調整して最も楽に立てるポジションを見つけてください。
横から見たときに頭頂・肩の真ん中・大転子(大腿骨上部の出っぱった部分、股関節の位置)が垂直に並ぶと理想的です。
さらに重要なのは重心を落とす位置です。
立ったときに足底の拇指球付近(つま先付近)に圧力がかかっていませんか。
足底の踵、そしてアウトエッジ(足裏の小指側)に足圧を感じるようなイメージで立ってください。
このような姿勢を「外旋立ち」といい、全身の力を効率よく使うことができる立ち方です。
実は「外旋立ち」は昔の日本人の立ち方です。
日本では市民が靴を履くようになったのは明治の終わり頃、それまでは草履(ぞうり)や草鞋(わらじ)を履いていました。
踵がしっかり地についた立ち方をしていたのです。
生活の中で姿勢を意識するようにしましょう。
この「外旋立ち」をマスターするだけでパフォーマンスが飛躍的に上がることも珍しくないのです。
側弯症によって姿勢が悪く見えるとは
ここまでは側弯症でない方も含めた正しい姿勢のお話でしたが、側弯症であることによって姿勢にどのような変化がでてきてしまうのか。
ポイントは3つです。
1つ目は「捻じれ」2つ目は「左右のバランス」3つ目は「筋力」です。
1つ目の「捻じれ」は側弯症の原因でもありますが、脊柱が回旋してしまい基本的に左半身が前にでてしまうことです。
これは立ち姿勢の時も座り姿勢の時も同じですが、無意識にそういった姿勢をとってしまい客観的にみると斜め向いているように見えてしまいます。
また、その影響で勉強中に捻じれたままであると覆いかぶさるような姿勢になり左右どちらかの肩が前に出てしまい、長年放置してしまうと固まってしまいます。
2つ目「左右のバランス」は側弯症の場合脊柱事自体が左右どちらかに曲がることが多いので当然曲がっている方に筋肉も引っ張られてしまい傾いてみえるもしくは実際に傾いているという姿勢になってしまいます。
意外かもしれませんが、S字型側弯症で度数が左右同じくらいの場合、度数が軽めのシングルカーブの人よりも傾いて見えないこともあります。
また頸椎が曲がっている場合は、その上の頭が傾きます。
3つ目の「筋力」は10、20年前に比べたら相対的に筋力不足と言えるのは間違いありません。
当院の側弯エクササイズをやるにしても10回で精一杯という方も多くいらっしゃいます。
しかし正しい姿勢を意識するには腹筋と背筋がないと姿勢維持が難しく、猫背や巻き肩などの症状から腰痛になってしまいます。
また背中のでっぱりが目立ちやすくなります。
つまりシックスパックにするために筋トレをするのではなく、正しい姿勢を維持するために必要な筋力を鍛える必要があります。
当院では立ち姿勢や座り姿勢のほか勉強時そして授業中の姿勢についても細かくアドバイスしています!